エリオットとのリーダークライス最後のセッション、ジェイミーと夕食、そして地下鉄で・・

今これを書いているのは金曜の朝です。もうすぐブライアンのラジオが始まるところ。今日は、夜に金曜コーラスに五年ぶりに参加することになっていて、みんなに会えるのと、一緒に歌えるのがとても楽しみ。私のことをみんなの娘ぐらいに思ってくれている人たちだから。

さて、昨日、木曜はとてもとても充実した一日になりました。
エリオットとの合わせ、最終回です。ワークショップが終わって、それでもう終わりなのかと思っていて、それでもワークショップの忙しいスケジュールの中で何度も合わせる機会をエリオットが作ってくれたことに十分感謝していたのだけど、ニューヨークに帰ってからももう一度ゆっくり合わせたいといってくれて今回のセッションが実現したのでした。友人のキャロリーも快くアパートを使わせてくれると承諾してくれて、すべての人のおかげでこんなに幸せな時間が実現しました。

ワシントンから帰ったのが火曜の夜で、水曜はほとんど予定もいれず、一日、ゆっくりリーダークライスの12曲をさらいなおして、気持ちは少し落ち着きました。とにかくここにいる間は、毎日練習するという環境はのぞめないので、何日ぶりかにピアノにさわるたびに、弾けなくなっているんじゃないかという不安感がともないます。で、思ったよりも弾けているととても嬉しくなるのです。

で、昨日のこと。
合わせは、午後一時からの予定だったけど、キャロリーにお願いして、私は二時間前に。で、その前にやはりシンのアパートの電子ピアノでも練習しておこうと、早起きして、一時間ほどは指を動かしてからアパートを出ました。だんだん緊張してきたよ。本当は何かお土産でももっていくべきだと思うのだけど、キャロリー夫妻は、私たちのセッションが終わったら、夏の間毎週末住んでいる週末の田舎の家に向かうことになっていて、食べるものだといたんでしまうし、花も枯れてしまうし、あーなにがいいんだーと考えているうちに何も買わずについてしまった(^00^;)ごめんなさーいっ。そんなことをキャロリーに話したら、何もいらないのよーいいのよーって。で、着いたら、さっそく飲み物出してくれて、エリオットが来る少し前の、12時45分になったら、特製のきゅうりの冷製スープがあるから、ランチに食べようねと言ってくれました。場所を借りるだけでもありがたいのに、この心遣い!本当に感謝ですねんっ。

キャロリーのスタインウェイピアノ、前回弾かせてもらったときは、タッチがかたいなーと感じたのを覚えています。でも、二時間練習させてもらううちに、だんだん慣れてきました。発音が浅くから始まるというか、奥までいかなくても鳴り始めるというのかな。で、そのポイントがキーによって違う、一定していない。よく敏感に感じてあげないと、和音とかを押さえるときに、汚い音になってしまいます。曲の練習でなくて、基礎練習で重音や、和音、同音連打などを全調で丁寧にやっていくうちに、だんだんそろってきました。その後は、おきまりのスケールとアルペジオ。こういう土地ならしのようなことを丁寧にやらないと、けっきょく曲を弾いていて不安定になるとだんだんわかってきました。で、こういう作業をしているうちに落ち着いてくる自分もわかってきました。それに時間がかかって、曲の練習時間が少なくなっても。それが結局いいのだということもわかってきました。ペダルも浅い感じで、どこまで踏んだらフルなのか、感覚をならしていきます。

タッチがそろっていないといっても、やっぱりスタインウェイはすごいなーと思います。なんというか、ピアノ自身が語るという感じ。で、発音が浅いといっても、自分のタッチを浅くすると、語りも浅くなるというか、深くしっかり会話してあげると、だんだん楽器も深く語り始めるという感じでした。

あっという間に時間がたって、キャロリーが出してくれたスープと野菜のランチを食べ始めたところで、早くもエリオットが到着。エリオット宅に滞在しているオーストラリアからワークショップに参加していたジュディも一緒でした。彼女は作曲家でもあり、今は、エジプトの文化を取り入れたミュージカル曲を書いていて、まだ数年かかるかもしれないけど、資金を出してくれるパトロンにプレゼンして、資金集めして、なんとか公演にこぎつけたい、とそんな活動をしているそうです。すごいなー。

エリオットも私も録音機をセットして、いよいよリーダークライスの演奏が始まりました。お客さんは、ジュディとキャロリーの二人。エリオットが用意してくれたドイツ語の英語訳を見ながら聴いてくれていました。

合わせというか、止まりながらいくのか。。とも思っていたのだけど、なんとすべての曲を途中おしゃべりなしで、通しました。コンサートのように。曲間は、ただ目を合わせて、次の用意はいいですか?ではいきますよーというアイコンタクトのみで。

で、私のピアノは、今までで一番納得のいく演奏ができました!ずっと弾けなかったところ、特に後奏が苦手で、集中が切れてしまいがちだったのだけど、すべてうまくいったし、途中でどうしても弾けないところも、ほぼ攻略できた感じ。はじめて自分の中でも「通った」と思えた。そして、12曲を進む間に、本当に喜びに包まれてきて、最後の曲はとても難しいはずなのに、心から楽しめました。こんな感覚はこの一ヶ月で初めてだったかも。

全日、シンの電子ピアノで丁寧にさらったこと、ベンの声楽レッスンに連れて行ってもらって一緒にリーダークライスでレッスンを受けたこと、ワシントンのワークショップでも何度かピアノの練習をさせてもらったこと、ウェスタンウィンドのワークショップでも、たくさんの違うスタインウェイのピアノを練習室でさらったこと、デビッドにもグループ練習の合間に一曲だけ歌ってもらったなー、そして、キャロリーのピアノでも二回も練習させてもらったこと、この一ヶ月のあいだに、本当にたくさんのピアノをたくさんの歌い手さんと武者修行してきたわけで、この曲が一ヶ月かけて、だんだん自分にしみこんできた気がする。とてもすてきな体験だったなぁと、今になって振り返ってみて思う。

リーダークライスの後、私がエリオットの伴奏でパーセルの曲を二曲歌い、それでセッションも終わりなのかな。。。と思っていたら、エリオットが二枚の紙を差し出して「なおこ、さっ、まだあるんだよ、初見のテストだよ」。うん、なんだ?

なんと、それは、新曲だった。
For NAOKO とある。私のためにエリオットが新しい曲を作ってくれていたのだ。
ピアノ伴奏がついたとても美しい曲。そして歌詞は日本語!柿本人麿呂の俳句を使って書いてくれたのだ。音節の割り振りがうまくいかないところもあって、これから校正が少し必要かもしれない。でも、とにかく、すごい!感動。私のためにこんなことまでしてくれるなんて。本当に光栄なことです。本当に今回の旅は一生の思い出になります。

そもそも、このプロジェクトがあったからこそ、アメリカ行きを決意したわけで、そのきっかけをもらったおかげで、今回の旅のさまざまな成果もあったわけで、本当にエリオットには感謝してもしきれない。

次は、Dichterliebeをやろうと二人で決めた。これもまたシューマンの歌曲の中で有名な組曲というのかな。今回やったリーダークライス作品39よりも曲数が多くて、やったことがあるベンによると、歌の最終曲が終わったあとに、ピアノだけが演奏するエンディングがあるんだって。ひえーーー。ベンも次にこの曲をやるのなら、ぜひ自分とも合わせてほしいと言っている。次の旅が実現するのかは、まさに神のみぞ知る。。だけど、夢なったっていいじゃん。そのためにがんばるって決めたら、もっとうまくなりたい、もっといろんなことを知りたいと思える。だから元気でいたい、だから学び続けたいと。伴奏する曲だけでなく、歌もピアノも音楽力も、次にエリオットに会うときには、成長した自分でいたいと心から思う。こんなにやる気をもらえる音楽人生になるなんて、本当に想像もしていなかった。そもそもこんなに音楽をやるとは人生の前半では考えていなかったし(^00^;)趣味のはしっこの方に音楽が居続けるのかなーぐらいの予想だったのに。

これは本当に現実なの?と思うぐらい、今回の旅は充実していると思う。
でも、あえて、自信過剰な思い方かもしれないけど、この全てを私は自分自身の努力があったからこそ、得られたのかなと思いたい。私のピアノが期待以下のものだったら、エリオットもここまで何度も合わせようとは言ってくれなかったと思う。よくがんばった、よく準備してくれた、歌っていて気持ちがいい、そう認めてくれたからこそ、ここまでの展開担ったのだと思いたい。

ちょっとした気持ちから始まったかもしれないこのプロジェクトをここまで拡大させたのは、他でもない自分の努力の積み重ね、もちろん周りの人たちの協力を得てだけど、それがあってこそだと思いたい。

そして、これからも、どんな小さなことにも真心をもってのぞんで、最大限の結果がえられるように、機会を無駄にしない自分でありたいなと思う。

いつもいつもベストを尽くすって、とても難しいことだと思うし、できないことももちろんあると思う。できなかったとしても、それに対して長く落ちこむことはしないで、次にまたベストを尽くす、と先を見つめていくことも大切かもしれない。私の歌やピアノのレベルは、もっともっとすごい人と比べてしまえば、本当にたいしたことないと思うのだけど、大切なのは、自分の中で、今の自分よりも進歩して、そこからまた進歩して。。。と自分の中でのレベルアップなのかなと思う。日本に帰ってからも、できるだけ地道に、ゆっくり、できれば確実に進歩を続けていきたい。がんばろう、と改めて思えた。

セッションを終えて、エリオット、ジュディと一緒に少しお茶の時間。その後、ホールフーズで自然食を買いたいというジュディにつきあって買い物。いろいろ親しく初めて話せておもしろかった。本音トークもいくつかあったし(^00^;)

で、ジェイミーとの夕食の約束が六時半で、それまで二時間ほどあったので、大都会マンハッタン久しぶりに観光客のようにお散歩。お店を見て歩いたり、マクドで飲み物買ったり。とにかく、今週のニューヨークは暑くて、熱中症の人が続出しているらしい。少し歩くだけで死にそうに暑くなる(^00^;)脱水には苦い思い出があるので、気をつけなければと、飲み物を補給しながらテクテク。そのうちに時間になり、ジェイミーとの約束のタイ料理レストランへ。

ジェイミーは五年前とぜんぜん変わってなくて、二時間のおしゃべりがあっという間に進んだ。結婚祝いに用意していった、コーラスの団員さんが作ってくれた和紙で作った花嫁人形をとても喜んでくれて、いつかこんな着物がきてみたい。。。と言っていた。日本が大好きで少しだけ日本語で挨拶もできたりする彼女なので、いつかまた旦那様もつれて日本に来てほしいし、そのときには、着物体験をさせてあげたいなと思う。大学時代、18才で出会った彼と11年越しの恋愛を実らせて結婚する彼女。本当に幸せになってほしい。

そして、一日の最後に次のサプライズが待っていました(^00^;)

ジェイミーと別れて、地下鉄に乗り込みました。
ほどなく空いた席に座り、込み合った車内でふと見ると、3人ほどの人の向こうに、なんとなく見覚えのある顔が。あれ、もしかして?リチャード?
リチャードといってもここに何度か出てきたリタの旦那様のリチャードではなくて、ウェスタンウィンドの元メンバーで、五年前私が初めてワークショップに参加したときには、メンバーだったリチャード・スレイドさんです。歌の先生で、プロの歌い手で、若い頃はたくさんオペラにも出ていたテナー歌手。五年も会ってないし、今どんな顔になっているか知らないんだけど、ずっと見つめているうちに、だんだんリチャードに見えてきた。でも、まさかなー、こんな広い大都会で、同じ時間に同じ地下鉄の同じ車両に乗るなんて、あり得ないよね。。。と自分の中で否定し続ける。だいたい、アメリカ人って似てる顔もたくさんあるし。リチャードは髭を生やしていて、そんな顔の人もいっぱいいるし。リチャードは、フェイスブックで何度かコメントをくれていて、こっちにいる間に、お茶でもできたらいいねーと言ってくれていたのだけど、なんやかやで実現しないままになっていた。

でも、これがもし本当にリチャードだったら?とだんだん思ってきて、とうとう思い切って席を立ち、彼の方に近づいていった。もし別人なら、何も言わないだろうし、もしリチャードなら私の顔を見て、何か言うかもと期待して。そしたら、果たして、その人の口が「な、な、お、こーーーー??」と大きな目を見開きながら動いたのでした。おー、やはりリチャードだったのだー!二人して汗だらけの体で、地下鉄の中でハグハグ!会いたいと思ってた人にこんな偶然に会えるなんて、神様は一日の終わりにすごいご褒美を用意してくれていたのです!

96丁目近くに車をとめていて、そこから車で帰るところだったそうで、一緒に車にのってくれたら、中で話せるし、アパートまで送るよと言ってくれた。息子さんのジュリアンも一緒。ジュリアンは五年前のワークショップに来ていたので、会ったことがあったのだけど、!5才になっていて、大きく育っていてびっくり(^00^)

車の中でいろいろ話せた。どうしてウェスタンウィンドを去ったのか、何人かから噂で聞いていたけど、真実は違っていて、彼の心の葛藤を包み隠さず話してくれた。そして、その理由にとても納得した私は、彼がいまの生活を選んだことを素直によかったなと思う。五年前、一年の滞在の最後に、少しだけウェスタンウィンドの事務所をボランティアで手伝っていて、そのころにいろんな問題や悩みがあって、その悩みをリチャードには聞いてもらっていたので、彼も私がそんなことがあった上で、今回ワークショップに戻ってくると知って、正直驚いたと言っていた。私も、五年前は、もう二度とワークショップに戻ることはないと正直思っていたので、彼の感想は理解できたし、リーダークライスの話がなかったら戻らなかったと思うと話した。二人の話は、本音炸裂で、何度も爆笑して、つらい話や、しんどい話もあったんだけど、すべてを笑い飛ばして、今の幸せ、今の楽しみを感じようと、二人してそんな感じだった。

一度は会いたいと思っていたリチャードにも出会えて、本当に最後まで充実した一日になったのでした。

いや、本当に充実していたので、今日はゆっくりの一日を過ごしましょうぞ。はい。
夜になって金曜コーラスに出かけるまでは、掃除、洗濯、近所のスーパーでの買い物ぐらいにしとこ。ゆっくりしよう。明日はいよいよたこぶくんが来るのであります(^00^)楽しみ楽しみ。
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by butakotanaka | 2013-07-19 23:44 | NY・留学