文楽を見てきました!

大阪では、今年始め辺りから盛んに報道されていたが、大阪市からの文楽に対する補助金打ち切りか、というニュースです。この一月の新春公演終了時で、今期の締めとなり、その時点で次のような指針が出ました。

「13年度は、補助金を協会運営費の2900万円と演者の活動補助費の1千万円に分けた上で、2900万円については、国立文楽劇場の年度内の入場者総数に応じて交付することにした。年度内10万5千人以上ならば満額、それ未満なら入場者1人につき約1930円ずつ削減し、9万人以下ならゼロという指針を示した。」

実は、ぶたこ母は、文楽劇場のすぐご近所に住んでいます。歩いても10分はかかりません。
ということで、10年ほど前までは、よく観劇に訪れていたようで、贔屓の大夫も何人かいました。でも、そんな人達が順番に天国に言って、世代が少しずつ交代していき、母も体力がだんだんなくなってきて、長時間劇場に座ってみるという集中力も持たなくなってきたのかなーと思います。

私達夫婦は、お互い、中学とか高校時代の文楽鑑賞会とかで学校から出かけて以来、一度も行ったことがありませんでした。要するに大人になって初めての文楽です。

日曜の午後、三人で出かけました。
この日は、今月の新春公演の楽日。そう、この日までの観客数が補助金の金額が決まる運命の日でもありました。たまたま都合のあう日がこの日だったので、先週チケットを購入したのですが、先週の時点で購入できてしまったことから、あー、楽日だけど、満員じゃないのかな、と少し寂しい気持ちもしていました。

前日から、上演される番組の予習をしました。たこぶがネットで調べたり、図書館で文楽入門の本を借りてきたりして、いろいろおしえてくれます。そのおかげもあって、当日の公演は、退屈してしまうかもと予想していたのを見事に裏切り、とてもとても楽しいものになりました。大人になってからみる文楽ってええもんやなーと思いました。西洋のクラシック音楽をずっと勉強してきたことと、子どもの頃、ほんの少しだけど日本舞踊と三味線を習った経験もあって、感動することがいっぱい!やっぱり一流の演技というのは、どんなジャンルでも素晴らしいです!


私達が見たのは午後の第二部です。
三演目ありました。私は文楽の完全なる初心者なので、自分なりの解釈や感想しか書けないけど書いてみます(^oo^)


「面売り」 文楽って、義太夫という歌の部分は、一人の人が担当して、すべての役割を声色変えて語るものだと思ってたけど、これは、楽隊がすごく賑やか!たくさんの謡い手さんが現れて、合唱あり、独唱あり、というんですか?役割によっても違うし、盛り上がると複数で一緒にうたって・・・。三味線も複数おられて、華やかでしたー。おしゃべり案山子と、可愛い面売り娘のお話。案山子がお面の講釈をするかたわらで、娘が次々に違うお面かぶって踊るのだけど、その様子がとても愛らしかったです。

プログラムには「床本集」というののもついていて、要するに歌詞カード。これで順番に歌詞を追っていくこともできるし、舞台の中央上部に、二行ずつぐらい歌詞が表示もされています。もっと分からない言葉なのかと思ったら、けっこう字で見たら意味が理解できました。でもって、おもしろい。ジョークもあるし、掛け声の掛け合いみたいなのも楽しかったです。人形遣いはもちろんすごいけど、義太夫と三味線が、すぐ近くで聞こえて(私達は上手側の前部席だったこともあり)、ライブ感がめちゃありましたよー。


「近頃河原の逢引」
遊女おしゅんと伝兵衛の恋の話が中心。これに横入りしようとする官左衛門に伝兵衛が騙されて、色々あったあげくに官左衛門を殺してしまうところまでが四条河原の段で、後半は、実家に戻されていたおしゅんの家を訪ねるのが、堀川猿廻しの段。

ここで一番感動したのは、後半の最初に義太夫で出てきはった、人間国宝の住大夫さん。
それまでの義太夫にも十分感動していたんだけど、やっぱり、この人は何か違うと思いました。私の勝手な感想だけど、自分が声楽を学んできた中で、この人の義太夫は、響きが美しくてびっくり。共鳴音がたくさん聞こえてきたし、なんといっても言葉がとてもきれいに伝わってきた。ゆったり豊かに、すべての発音が聞こえてきて、それがバラバラにすべて聞こえるのでなく、言葉として、文章として、気持ちの中身、呼吸とか間とか、よく分からないけど、すべてが自然で、この人と一緒に自分まで語りたくなるように、いや、ずっと聴いていたくなるような、すごく不思議な感じ。とても崇高な気品を感じる一方で、とても親しみも感じるというか、あたたかい。熱い。この人の義太夫、もう一回聴きたい、そう思いました。やっぱりすごいなー。

途中、三味線の弦が切れたのだけど、それでも全く動じず、語りのアカペラのタイミンクで、ささっと弦をつけかえて、ささっとチューニングして、何もなかったかのように、すっと次のタイミングで入ってきたり、三味線の弾き方も、バチの使い方によって、いろんな音色が出て、打楽器にもなるし弦楽器にもなるし、とにかくもうあっぱれの一言。

後半のおしゅんの実家の場面では、お兄さんが猿廻しなんだけど、この人がほんまに庶民の代表って感じでおもしろい。あわてたり、うろたえたりする様子が、歌にも、踊りにも、現れていて、何度も爆笑。猿廻しのところでは、猿二匹を一人の黒子さんがパペットマペットそっくりな感じで(いや、こっちが元祖やと思うが)、めちゃ可愛いの!二人の恋仲を反対していた母と兄も、最後には、二人の恋心を理解して、送り出してやるというラストには、胸がジンとなりましてん。

この演目には「そりゃ聞こえませぬ伝兵衛さん」という有名なセリフがあって、そこは聞き所や(^◎^)と前日の予習でたこぶから聞いていたんだけど、このセリフの前では、とてもタイミングよく「待ってましたー!」と声がかかり、すごいなーと思いました。ここを始めとして、見もののところが終わると、お芝居は続いているんだけど、観客から拍手が起こります。こういうところ、アリアの終わりに拍手がかかるオペラと同じだなーと思いました。

演目が終わると、義太夫の人は、床本というのですか?物語が書かれた本を、大切に前にあげて拝み、拍子木が鳴り響いて、縞模様の幕が閉まり、終わりを迎えます。こういう終わり方は、いつも影アナの仕事でやってる日本舞踊と同じだーと思って見てました。

ここで半時間の休憩。そうそう、書くのを忘れてたけど、この日はめでたく満席だったのです!
チケット売り切れと入るときに表示を見つけて、嬉しくなりましたよ。満員のお客さんに対するなんというか感謝の気持ちが伝わってくるように演技だったようにも見えました。

この半時間の休憩で、食事をする人もたくさんいます。
なにせ、四時に開演して、この休憩は六時半ぐらい。前部終わったのは八時過ぎていて、長丁場ですもんね。でも、この日はまだ短い方で、後で聞いたら、4月公演は二部が終わるのは九時ごろなんだって!すごいねー。食事をする人は、ロビーでお弁当を食べる人、一階のお店で食事しに行く人と色々います。
でも、ロビーも席取りが大変で、争うように外に出て、わかってる人しか座れないという感じ。要領が悪いと座る場所なんてありません。半時間も休憩するんだったら、もう少し多くの人が座れる場所確保できるといいなー。

英語を話す人にはイヤホンサービスもあって、1600円出せば、解説を色々英語で聞けるみたいです。


で、最後の演目「壇浦兜軍記」です。
これは、阿古屋という遊女が主役で、追われる景清の行方を知っているのではないかと、取り調べを受けるのだけど、この拷問が普通のやり方じゃなくて、お琴、三味線、胡弓という3つの楽器を奏でてみなさいというもの。取り調べする人が二人いて、いぢわるそうな人が左衛門さん。この人はもっときついやり方にしようとというのに対して、ええもん役の重忠さんが、楽器を弾かせてみようと決めるのです。

そのそれぞれの楽器のときに、三曲担当の奏者が大夫の横に登場して、楽器を弾き、舞台の上では、勘十郎さんあやつる阿古屋が、見事に演奏するというもの。もうすごかったです、これ。弦を抑える左手を動かす人、バチや弓を動かす右手、頭の動き、身体全体の呼吸。すべてが音楽とぴたっと合っていました。名人芸ですー。でもって、この三種の楽器、同じ奏者が演奏していた・・・と思うのだけど、それぞれお見事でしたよー。

間違っていないと思うのだけど、勘十郎さんは、女優の三林京子さんの弟さん。確か昔は、吉田みのたろうさんと言っていたと思うのだけど、その時代に、私がバイトしていたお店に来られたことがあって、一度だけお会いしたことがあって、その頃はまだ修行中という感じだったのだけど(といって詳しいことは知らなかった私(^oo^;))、すごく立派な中心メンバーになっていて、驚きました。

もう大満足(^oo^)
いや、もっと来るべきやなと、つくづく反省。こんな素晴らしい文化が身近にあるのに、今まで来なかったのはあかんやんって。

ただ、ちょっと一回の時間としては長いかなー。。初心者には。
後半か前半のみぐらいの2時間ぐらいの公演区切りだといいのになー。
一応、幕見という制度があって、一幕だけでも見られるんだけど、その日の朝に、余ってる席のみ、幕見券を買うことができるのですね。前売りではないのです。もし前売りから買えたら、平日の夜でも来られるのになーとも思いました。難しいのかな。


毎月、というのはしんどいけど、一年に何回かは来たいなーと思いました。
いや、ほんま、よかったですよ。
まだ行ったことがないあなた、ぜひ一度どうぞ(^oo^)
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by butakotanaka | 2014-01-27 17:12 | 日常生活